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2012年9月12日 水曜日

相続 準備がものをいう

みなさん,こんにちは,弁護士の桑田です。
本日のテーマは相続の準備です。タイトルは本日の日経新聞の記事から取りました。
この記事には,相続の準備として遺言の作成や遺産である自宅などの不動産の分割方法について説明しています。
意識してみると,本当に相続や遺言について書かれた記事は多く,世の中で重大な関心を集めていることだと再確認しました。

私も,これまでこのブログの中で,遺言や相続について書いていますし,ほぼ常時,遺産分割案件の依頼を受けています。
やはり,だれにとっても遺言や相続は避けて通れないトラブルなのでしょう。

今回は,その中でも財産目録の作成について説明したいと思います。
遺言の作成や遺産分割の依頼を受けるとき,まず最初に行うのが「遺産の内容」の確認です。ところが,遺言の作成のように,被相続人の生前であっても,自分の財産の内容を確定できないことがしばしばあります。たとえば,不動産をいくつも持っていて,全て管理会社に任せているような場合です。まして,お亡くなりになった後の相続で遺産の所在を確認することはとても大変な作業です。

そこで,相続の準備として,財産目録を作成することはとても大切です。預貯金,不動産,保険くらいは把握されていると思いますが,株式,社債ももちろん遺産に入ります。自営業者が法人化している場合は,その株式も当然相続の対象となるのですが,かえって自社の株式の認識が薄い経営者の方も中にはいます。事業承継とも関連して自社の株式の処理は大変重要ですから,しっかりと把握していないといけません。その他,遺産に当たるとは限りませんが,自営業者の場合,企業共済などに加入して死亡退職金が出る場合があります。企業共済に加入していることを遺族が知らないと死亡退職金を受け取り損ねることもあり得るのです。

まだ,被相続人が生前で元気なうちに,遺産となるであろう財産を総ざらいして財産目録を作っておくことはとても大切なことなのです。弁護士の役に立てる分野だと思いますので,財産目録の作成を検討されている方はお気軽にご相談下さい。
 その他のご相談については,相続全般は
http://www.kuwata-lawoffice.net/souzoku/#a02
 未成年者の関係する遺産分割については
http://www.kuwata-lawoffice.net/blog/2012/09/post-33-343015.html
 遺言執行者については
http://www.kuwata-lawoffice.net/blog/2012/07/post-27-314543.html
 遺言の作成については
http://www.kuwata-lawoffice.net/blog/2012/06/post-13-285125.html

投稿者 弁護士 桑田 英隆 | 記事URL

2012年9月11日 火曜日

マンション管理会社との契約の途中解約

みなさん,こんにちは,弁護士の桑田です。
今回のテーマは,「マンション管理組合が管理会社との契約を途中で解約する場合の問題点」についてです。
今年の7月下旬から8月初旬にかけて日経新聞上で「マンション誰のものか 潜むリスク」という連載がありました。
その中で,マンションに潜むリスクとして,大規模修繕の大変さと並んで,管理会社の従業員による横領や管理会社の紹介した工事業者の工事代金が割高なケースなど管理会社をめぐるトラブルが記載されています。

管理会社は,管理組合から委託を受けてマンションの管理事務を行う事を業とする会社を言います。
管理会社に委託する業務として,標準管理委託契約書では,事務管理業務,管理員業務,清掃業務,建物・設備管理業務などが挙げられます。もちろん,これらの業務が適正であれば問題はありませんが,上記のように横領は論外としても,不適切な事務処理を行うことは十分に考えられるでしょう。

そのような場合に,契約期間の途中でも解約できるのでしょうか。
マンション管理組合と管理会社との契約は委任契約に準じるという側面があります。そして,民法には,「相手方に不利な時期に委任を解除したときは,・・・相手方の損害を賠償しなければならない」という規定(651条2項)があります。そこで,マンション管理組合がエレベーター会社との契約を途中解約しようとした際に,エレベーター会社が「契約期間中に得られるべきであった保守点検料」を損害として賠償請求した事案があります。
東京地裁平成15年5月21日判決は,エレベーター会社の主張する損害は事務処理とは別の報酬の喪失であり,その他にエレベーター会社に不利益な事情が窺われないから「不利な時期」の解約ではないとして,損害賠償請求を棄却しました。
この判決は,マンション管理組合が管理会社との契約を途中解約する場合でも損害賠償が認められない方向を示す判決と言えると思います。
その他のマンショントラブルは以下のページをご覧下さい。
 マンショントラブル全般は
http://www.kuwata-lawoffice.net/manshon/
 マンション内の水漏れ事故については
http://www.kuwata-lawoffice.net/blog/2012/08/post-31-328055.html
 マンション内のペットトラブルは
http://www.kuwata-lawoffice.net/blog/2012/09/post-37-348244.html
 マンション内でのビラ配りについては
http://www.kuwata-lawoffice.net/blog/2012/09/post-1-342591.html
 滞納管理費の回収については
http://www.kuwata-lawoffice.net/blog/2012/07/post-23-306215.html

投稿者 弁護士 桑田 英隆 | 記事URL

2012年7月18日 水曜日

定年後の継続雇用

みなさん,こんにちは,弁護士の桑田です。
今回のテーマは,「定年後の継続雇用 基準は」です。
これは平成24年7月16日付日経新聞朝刊の法務記事のタイトルです。

年金支給開始年齢の引き上げに伴い,定年後に年金がもらえない空白時期が生じるとの懸念から高年齢者雇用安定法が制定されました。
高年齢者安定法は,「定年の引き上げ」「継続雇用制度の導入」「定年制の廃止」のいずれかを企業に選ぶよう義務づけています。定年の引き上げや定年制の廃止では,原則として希望者全員の雇用を継続しなければならず会社の負担が重いため,大半の企業が継続雇用制度を導入しています。継続雇用制度の中の再雇用制度による場合,いったん雇用関係を終了するので雇用条件を引き下げやすいこと,再雇用の選定基準を定め基準に満たない労働者の再雇用を拒否できるという企業側のメリットが大きいのです。

ですが,上記の記事によると,最近,継続雇用されなかった労働者が企業を訴える例が相次いでいるようです。これは,そもそも再雇用の選定基準が妥当か,当該労働者が基準に満たさないという判断が妥当か,基準そのものを決めた手続が妥当か,など選定基準を巡る争いが絶えないからです。しかも,まだ地裁レベルの判決がほとんどで学説を含め統一的な議論がまだ行われておらず,裁判所の判断もまちまちなようです。
実は,私も継続雇用を拒否された労働者の代理人として企業相手に交渉し,再雇用を確保した経験があります。その労働者の方は多少身体が不自由でしたが,再雇用を拒否されるような障害ではありません。企業側の経営不振や他社との合併などの影響で,再雇用者をなるべく減らしたいという意図が見え隠れしていました。

企業側は,再雇用の是非を巡る裁判が頻発している現状を見据え,妥当な選定基準を作成することはもちろん,基準についての労使協定の締結という手続の遵守,実際の再雇用時に公正な選定を行うなど,裁判に至らないよう十分に配慮する必要があります。

投稿者 弁護士 桑田 英隆 | 記事URL

2012年7月5日 木曜日

失敗の本質

こんにちは,桑田です。
今回のテーマは最近読みました本についてです。
プロフィールの趣味の欄に「読書 年間100冊近く読破しています」と大見得を切ってしまいました(^_^;)
というわけで,今回は趣向を変えてみましたので,お気軽にお読み下さい。

「失敗の本質」は,第2次世界大戦における日本軍の失敗の「本質」をつきとめようとした古典の名著です。昭和59年に発行された研究書ですが,最近,エッセンスを記載した「超入門『失敗の本質』」が売れ行き好調となり,再度,脚光を浴びています。

 「失敗の本質」の中で,日本軍敗戦の原因分析がなされています。
たとえば日本軍内に「戦略が・・・多分に情緒や空気が支配する傾向」という情緒的人間関係が気づかれたこと,「情報,諜報の活用という点では,米軍に比べ決定的に劣っていた」という情報の軽視,「失敗した戦法,戦術,戦略を分析し,その改善策を探求し,それを組織の他の部分へも伝播していくということは驚くほど実行されなかった」という学習の軽視などが挙げられています。
そして,「日本軍の組織原理を無批判に導入した現代日本の組織一般が・・・危機が生じたときは,大東亜戦争で日本軍が露呈した組織的欠陥を再び表面化させないという保証はない」とも書かれています。

昨年,東日本大震災,原発事故という「危機」が生じました。
昨日の原発事故調査委員会の報告書では「明らかに人災」と指摘され,その理由として,規制当局と東京電力の立場が逆転し,
地震・津波対策を立てる機会が過去何度もあったのに先送りしてきたと指摘されています。まさに,情緒的な人間関係や学習の軽視と言われても仕方がないのではないでしょうか。
自戒の意味も込めて,とても考えさせられた一冊でした。

  

投稿者 弁護士 桑田 英隆 | 記事URL

2012年7月4日 水曜日

自宅相続 共有はリスク

こんにちは,弁護士の桑田です。
 本日のテーマは,自宅を含めた不動産の相続方法です。
タイトルは,今日の日経朝刊の記事から抜粋しました。
自宅の相続がリスクとなるのはどうしてでしょうか。

 亡くなった方の遺産が自宅の場合の分け方には,①自宅を売って代金を相続人で分ける,②相続人の一人が自宅を相続し,他の相続人に現金を支払う,③相続人全員で共有する,などの方法があります。
ですが,①は,相続人の一部が亡くなった方と自宅で長期間同居していたとか先祖伝来の土地建物であるような場合には売却したくないと思うことがあります。②の場合も,自宅を相続する方に相当の資金がないと他の相続人が納得しないでしょう。
 そのため,何となく③のように自宅を共有してしまうこともあります。ですが,その後に相続人も亡くなってしまうと,今度は共有状態がどんどん細分化され,根本的な解決がよりいっそう困難になってしまうのです。

 このような事態を避けるためにも,まだ被相続人が存命のうちに遺言を作成しておくことが大切です。
「誰に自宅を残すのか決める」,「他の相続人に不満が残らないように預貯金で手当をする」『遺言の付言で,なぜ自宅を○○に残すことにしたのか自分の気持ちを説明する」など,トラブル回避のための方法を取ることができるのです。

投稿者 弁護士 桑田 英隆 | 記事URL

2012年6月28日 木曜日

高齢者の財産 誰に託す

こんにちは,弁護士の桑田です。
今日の話題は高齢者の財産の管理です。
「高齢者の財産 誰に託す」というタイトルは6月27日付日経新聞の記事の掲題です。

高齢化が進展する現代において,相続や遺言とともに,高齢者本人の財産管理の重要性も高まっています。
ご自分で判断し適切に管理できている間は良いのですが,認知症などでどうしても管理に不備が生じることがあります。
では,高齢者の財産管理について,どのような法的な対策が用意されているでしょうか。

一番有名なのは,いわゆる成年後見ではないでしょうか。
成年後見は,高齢者の判断能力が衰えた場合に,高齢者本人やその親族が裁判所に成年後見を申し立てるという手続になります。
 また,高齢者の方の中には,まだ判断能力のあるうちに「誰に」「どのような財産管理を」依頼するか,決めておきたいという方もいるでしょう。その場合には,任意後見契約を利用することができます。自分の希望する人物を任意後見人とすることができ,委任する事項も契約で決めることができます。手続としては,公証人の作成する公正証書で締結する必要があります。判断能力が不十分な状況に至った場合に家庭裁判所に任意後見監督人選任の申立を行い,選任されると任意後見契約の効力が発生します。
 ですから,任意後見人に就任予定の方は,いつ高齢者が「判断能力が不十分な状況」に至ったと判断して家庭裁判所に申し立てるのか,に注意しないといけません。申立が遅くなると,契約の効力が発生する前に高齢者の財産が散逸してしまう可能性があるのです。
 もし,親族がいないなど適当な任意後見人の候補者が見当たらない場合には,利害関係のない専門家である弁護士に依頼することも考えて良いと思います。
 なお,判断能力はまだ十分にあるが病気や体調不良などで財産管理を依頼したいという場合には,親族や弁護士などと財産管理契約を結んで,財産管理を任せる方法もあります。

投稿者 弁護士 桑田 英隆 | 記事URL

2012年6月7日 木曜日

全員遺言時代(特に東京に不動産をお持ちの皆様)

こんにちは,弁護士の桑田です。
本日は,6月6日の日経新聞朝刊の気になる記事「全員遺言時代 間近へ」についてです。

多くの資産をお持ちのいわゆる富裕層の方が相続対策で遺言を作成することはよく見受けられます。
ですが,この記事では富裕層でない方を含む「全員が遺言を作成する」時代が近いというのです。
記事の中には「財産が少ないからもめないと思っている人こそ要注意」とあります。どうしてでしょうか。
実は遺産分割事件は年々増加し,平成13年には6000件強だったのが,平成22年には8000件近くになっているようです。
記事によると,遺産分割事件の対象となる遺産額は5000万円以下が実に74%で,中でも1000万円以下だけで31%にも上ります。相続争いと遺産の多い少ないは関係なく,遺産が少なくともトラブルになっているのです。
では,遺言はどのように作成すればよいのでしょうか。
もちろん,自分で作成することもできますが,自筆遺言の有効要件は厳格に定められています。
公証人のお墨付きのある公正証書遺言がお勧めですし,公証人との橋渡し役で弁護士が役に立つ分野でもあります。
是非ご相談下さい。
なお,日経新聞の次のページに「えっ,私にも相続税?」という記事がありました。
「小規模宅地等の特例」の適用が狭くなっていますし,相続税の増税が国会で審議されています。
これまで相続税は全国で4%程度の方しか納めていなかったのですが,法案が成立すると,東京国税局管内では40%以上が課税ラインにかかるとの見方もあるようです。
節税対策からも遺言の作成は必要になる時代が到来してしまったようです。
皆様も,遺言の作成を検討されてはいかがでしょうか。
 その他,遺言,相続全般については
http://www.kuwata-lawoffice.net/souzoku/
 遺言執行者については
http://www.kuwata-lawoffice.net/blog/2012/07/post-27-314543.html
 未成年者の関係する遺産分割については
http://www.kuwata-lawoffice.net/blog/2012/09/post-33-343015.html
 をご覧下さい。

投稿者 弁護士 桑田 英隆 | 記事URL

2012年5月31日 木曜日

セカンドオピニオンの有効活用法

皆さん,こんにちは,弁護士の桑田です。
今回の話題は「すでに裁判等を弁護士に委任しているが,他の弁護士の意見も聞きたい」といういわゆるセカンドオピニオンの有効な活用方法についてです。

以下は,弁護士のある意味では本音の部分を自戒を込めて記載したところもありますが,ご一読下さい。

相談者からセカンドオピニオンとしての法律相談であることを知らされた場合,弁護士は以下のように感じることがあります。
まず,「この相談者は自分の依頼者になる可能性は非常に低い,したがって,経済的なメリットは期待しにくい」ということです。
法律案件はたいてい複雑で,説明に長時間を要しますし,委任すればそれなりの金額の着手金をすでに支払っています。
ですから,セカンドオピニオンの弁護士に好感を持っても,前の弁護士を変える労力まではかけないのが普通でしょう。

また,「この相談者は,現在の弁護士について不信感を持っているはずだ」とも感じます。
依頼している弁護士に信頼感を寄せていれば,わざわざセカンドオピニオンを聞きに来るはずがないからです。
そうすると,「この相談者は,今の代理人ともめているから感情的になっている可能性もある」と用心するのもご理解いただけるのではないでしょうか。相談者も自分に都合の良い意見を聞きたいばかりに,自分に不利なことは(無意識に)言わず,有利な事情しか話していないケースがあることも否定できません。

このように「この相談者はお金にならない。しかも現在依頼している弁護士と方針でもめていて,感情的になっているかも」と考えがちになってしまいます。しかも,セカンドオピニオンの弁護士はせいぜい1時間程度の相談です。委任を受けて代理人になっている弁護士の方が事情に通じているはずですから,より適切な意見を出すことも簡単ではありません。ですから,弁護士の中には相談を適当に流して,相談者に都合の良い意見を述べて,相談料だけもらって終わってしまう弁護士もいないわけではありません。

しかし,相談を受け流されて適当な回答をもらうのでは,セカンドオピニオンの意味が全くありません。
では,どのようにすればセカンドオピニオンを有効活用できるでしょうか。
まず,弁護士は友人,知人に紹介してもらうことが考えられます。弁護士も人の子ですから,自分の知り合いから紹介された相談者に適当な回答はしにくいものです。
一方,相談する側は,決して感情的になるべきではありません。依頼している代理人や相手方への不満を説明することは一向にかまいませんが,怒りの感情が先に立つと弁護士も答えにくくなります。それに,自分に有利な事情だけでなく,「意識して」不利とされる事情もご説明下さい。そうしないと,適正な回答は得られません。

では,私のセカンドオピニオンとしての活動はどうでしょうか。
私自身としては,真摯に対応してきたつもりですし,おざなりな回答をしたこともありません。
「無理なことは無理」と説明して,できないことの安請け合いは絶対にしていません。
ですが,私の相談の善し悪しばかりは,これまでの相談者の方の評価に委ねるしかありませんね(^_^;)

投稿者 弁護士 桑田 英隆 | 記事URL

2012年5月31日 木曜日

会社側から見たパワハラ対策

皆さん,こんにちは,弁護士の桑田です。
今日は,5月29日に厚生労働省から発表されたパワハラ相談についてです。
各報道によると,昨年,全国の労働局に寄せられたパワハラの相談は4万6000件で過去最多とのことです。
相談件数は,9年前と比べると実に約7倍にも増えたのだそうです。
パワハラ問題の深刻化が伺える結果と言って良いと思います。

ところで,パワハラはパワーハラスメントの略語ですが,具体的にはどういうことでしょうか。
厚生労働省の定義によると,「同じ職場で働く者に対して」「職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に」「業務の適正な範囲を超えて」「精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」とのことです。
わかりやすい例としては,上司が部下に対して指導とは言えないような行き過ぎた暴言が繰り返した場合でしょう。
厚生労働省の示した具体例も,暴行,傷害,暴言,過大な仕事を押しつけることなどが挙げられています。

パワハラ問題はますますクローズアップされています。ひとたび会社の中で発生すると,被害者への適切な対応や賠償が必要となることはもちろんですし,社外からの評価は低下し,社内の士気も落ち込み,会社にとって何一つ良いことはありません。
そこで,会社側も適切な対応を取ることが求められています。
事前の予防策としては,就業規則の中にハラスメント防止のための規定を盛り込むこと,社員教育を行うこと,相談窓口を設けることなどが考えられます。
また,実際にパワハラが起こってしまった場合には,社内調査,上司に謝罪させる,上司を懲戒処分とする,被害者に損害賠償をするなどの対応が考えられます。

ですが,私が一番大切だと思うことは,トップの姿勢です。
パワハラの被害者は,(たとえて言うなら)上司から受けた被害について,更にその上司に報告するわけです。
ですから,会社の経営陣が「パワハラなんてたいしたことではない。大げさだ」という姿勢では,相談窓口を設けても被害者が相談する気にはなりません。
会社トップが「我が社ではパワハラは絶対に許されない」という強い決意を持ち,社内外に表明することがとても大切なことなのです。

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2012年5月18日 金曜日

大相続時代

 こんにちは,弁護士の桑田です。
 最近,日経新聞夕刊に「大相続時代」という連載が掲載されています。高齢化が進展した日本がこれから大相続時代に突入することは明らかです。そこで,日経新聞も相続に焦点を当てた特集を組んだのでしょう。

 その中に,とても気になる記事がありました。
 相続の相談相手を調査した結果,39.3%が「誰にも相談していない」,51.4%が「家族・親族に相談した」というもので,弁護士への相談は実に3.3%しかありませんでした。
 日経新聞の調査では相続額の平均は3172万円でしたから,3000万円以上の遺産がありながら,約4割の方が誰にも相談せず,弁護士への相談にいたっては100人に3人しかしていないということなのです。
 「誰にどの遺産を残すか」は切実な問題です。たとえば,「相続人の所有する建物に子供の一人が住んでいる場合,相続人の死後も住み続けられるようその子供に建物を相続させる」とか「長年相続人を介護してくれた子供に少し多めに遺産を分配する」など,遺言を利用すれば相続人の希望を反映させた相続が可能なのです。そして,このような遺言の作成は弁護士の典型的な業務であるにもかかわらず,実際には3%しか利用されていません。
 弁護士への相談が相続対策にとても役立つことは間違いありません。それなのに3%しか利用されていないのは,弁護士側のアピール不足が大きな原因と考えています。アクセスしやすい弁護士を目指すことの大切さを痛感させられた記事でした。今後も弁護士業務についての理解を深めてもらう努力を怠らないよう頑張りたいと思います。         

投稿者 弁護士 桑田 英隆 | 記事URL

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