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弁護士桑田の活動日誌

2012年7月3日 火曜日

交通事故には弁護士特約の活用を!

こんにちは,弁護士の桑田です。
今日は,自動車保険の弁護士費用特約について説明したいと思います。

弁護士費用特約は,事故の被害にあった場合に弁護士に依頼する際,その費用を300万円まで保険会社が支払う特約です。
現在,弁護士費用特約自体は加入者は年々増加していますので,このブログをお読みの皆様の中にも加入されている方は多いと思います。
ところが,最近の報道によると,弁護士費用特約の利用率は低調なままだというのです。
どうして,弁護士費用特約があまり利用されていないのでしょうか。

これは,私の実感では,「そもそも自分が弁護士費用特約に加入していることを知らない」被害者が多いからだと思います。
保険会社が特約の存在を教えてくれればよいのですが,被害者から指摘されるまで何も言わない場合もあり得ます。
被害者も保険の内容を確認して『自分の身は自分で守る」という意識が必要なのです。

弁護士の知り合いがいる場合や自分で弁護士を見つけた場合でも,保険会社の紹介する弁護士を利用する場合でも,どちらでも弁護士特約は使えます。
保険会社が日弁連に弁護士紹介依頼を送付し,日弁連リーガルアクセスセンター(LAC)を通じて弁護士が紹介されるという流れもあります。私もLACに登録していますので,LAC経由で交通事故を受けることもあります。

常々交通事故について記載しているとおり,交通事故の損害賠償は弁護士が交渉するかどうかで賠償金額に大きな差が出ることが多々あります。弁護士費用特約を利用できるのに,そのことに気づかず,弁護士費用が高いと思い込んでご自身で不利益な解決をしてしまうことはとても残念なことです。

ぜひ,お手元の自動車保険を今一度確認してみて下さい。

投稿者 弁護士 桑田 英隆 | 記事URL

2012年7月2日 月曜日

標準管理規約における暴力団排除条項

こんにちは,弁護士の桑田です。
今日はマンションの管理規約による暴力団排除についてです。

マンションと暴力団の間のトラブルは古くて新しい問題です。
管理組合が,どのようにして暴力団の組事務所などをマンションから排するかに頭を悩ますことになります。
区分所有法の通常の規定に従い,使用禁止を求めたり,競売を請求するという方法が考えられますが,いずれにせよ時間も手間も大変かかります。

そこで,あらかじめ管理規約に暴力団排除条項を設けることが必要になります。
最近,国土交通省は標準管理規約に暴力団排除条項を盛り込むことを検討しているとの報道が出ました。
報道によると,組事務所としての使用の他,組合員への譲渡,貸与も禁止するとのことです。
また,組事務所として使用している疑いがある場合には理事長に室内を確認できる権限を持たせるようです。
このように,管理規約に暴力団排除条項を設けることで,そもそもマンションに暴力団関係者が入り込むことを予防できます。
また,暴力団排除の意識の高いマンションと言うことになれば,暴力団の方もあえて組事務所を構えようとはしないでしょう。
このようなマンション管理組合側の意識を規約に反映させることも大変重要なことなのです。

投稿者 弁護士 桑田 英隆 | 記事URL

2012年6月28日 木曜日

マンション内の言動による名誉毀損

こんにちは,弁護士の桑田です。
今日のテーマは,マンション内の言動が名誉毀損になるかどうか,です。
名誉毀損の成立は,マンショントラブルにかかわらず,弁護士として非常に多く相談を受けるところですので,判例を紹介したいと思います。
なお,前提知識として,外形上名誉毀損行為がなされても,「公共の利害に関する事実」について「もっぱら公益を図る目的」に出た場合,「摘示された事実が真実と証明されたとき」は不法行為は成立しないとされています。また,そのような証明がなくても「行為者において真実と信ずるについて相当の理由があるとき」も不法行為は成立しないというのが,最高裁の確立した判例です。

以上を前提に,裁判の事案を見ていきます。東京地裁平成7年11月20日判決は,マンションの区分所有者の一人が,管理委託会社について「一部の理事と結託して管理委託契約を締結した」とか「この会社の内容は,管理組合の預金証書と印鑑を一緒に預託できる程ではない」という文書を各戸に配布したというケースです。
 外形上名誉毀損行為に該当することは否定できないでしょう。ですが,管理組合の運営という「公共の利害に関する事実」について真摯に管理組合のことを考えて「もっぱら公益を図る目的」に出たもので,「真実あるいはそのように信じたことに相当の理由がある」等として不法行為の成立を否定しました。

また,横浜地裁平成9年5月9日判決は,マンションの区分所有者が管理組合総会の席上で理事長の名誉を毀損する内容の文書を配布し「従来の自主管理の方法は独善的,威圧的」等と記載してあったことについて,次期理事長選挙という公共の利害に関する事項について,もっぱら公益を図る目的でなされた等としてやはり不法行為の成立を否定しました。

このように見ていくと,個人攻撃ではなく,マンション全体の公共的な事実について,その管理を向上させるという公益的目的を持って行っている場合には,真実あるいはそのように信じたことに相当の理由があれば名誉毀損が認めがたいということになるかも知れません。

ただし,私は,だからといって,憶測や感情に基づいて,他者を誹謗中傷するような発言は避けるべきと考えますし,まして,各戸に厳しい論調の文書を配ることは控えるべきだと思います。同じマンションで生活しているのに,裁判になるほど感情が対立するのではマンション管理の阻害要因となることは明らかですし,上記判例では名誉毀損にならなかったとからと言って,別のケースでも不法行為が否定されるとは限りません。理事会に対する問い合わせや管理組合総会での(冷静な)指摘を通じて解決を図ることが先決なのだと思います。

投稿者 弁護士 桑田 英隆 | 記事URL

2012年6月28日 木曜日

企業による復職支援の方法

こんにちは,弁護士の桑田です。
今日のテーマは,休職していた従業員の職場復帰に対する企業の支援についてです。
経済状況が大変厳しい昨今,会社が従業員に厳しいノルマを課すことや,リストラ後に残った従業員の負担が重くなるケースがしばしば見受けられます。
その状況に起因して,精神的に不調を来して休職を余儀なくされる従業員は少なくありません。もちろん,家庭的な事情など業務外での事情により精神障害を患い休職することもあります。
それでは,このような精神障害で休職した従業員の復職について,企業は復職支援をすべきでしょうか。

企業による復職支援について明確に法的義務が課されているわけではありません。
しかし,職場でのパワハラで精神障害に罹患したような場合はもちろん,かりにプライベートな事情による精神障害の場合でも,昨今の精神障害の増加傾向や社会的な意識からすると,企業が相応の復職支援態勢を取ることは求められているのではないでしょうか。厚生労働省も「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」を発表しています。では,具体的にはどのような復職支援の方法があるのでしょうか。

代表的なものとしては,復職直後は業務量を制限し徐々に通常の業務量に戻す「業務量の調整」,「残業や休日出勤等の制限」,当面の業務時間も当初は短くする「短時間業務」などです。また,職種を特定して採用されたわけではない通常の正社員の場合には,職場や職務内容を復職者に適した仕事に変更する「職種変更」なども考えられます。

中小企業の経営者の中には「このような手間のかかる復職支援より,解雇して終わりにしたい」と考えてしまう方もいるかも知れません。ですが,一定の復職支援を行わず直ちに解雇した場合,元従業員側から解雇無効を主張され「復職支援もないままの解雇は不相当」と主張してくる可能性は否定できません。そのような主張をされないように,慎重な対応が必要と考えます。

投稿者 弁護士 桑田 英隆 | 記事URL

2012年6月28日 木曜日

高齢者の財産 誰に託す

こんにちは,弁護士の桑田です。
今日の話題は高齢者の財産の管理です。
「高齢者の財産 誰に託す」というタイトルは6月27日付日経新聞の記事の掲題です。

高齢化が進展する現代において,相続や遺言とともに,高齢者本人の財産管理の重要性も高まっています。
ご自分で判断し適切に管理できている間は良いのですが,認知症などでどうしても管理に不備が生じることがあります。
では,高齢者の財産管理について,どのような法的な対策が用意されているでしょうか。

一番有名なのは,いわゆる成年後見ではないでしょうか。
成年後見は,高齢者の判断能力が衰えた場合に,高齢者本人やその親族が裁判所に成年後見を申し立てるという手続になります。
 また,高齢者の方の中には,まだ判断能力のあるうちに「誰に」「どのような財産管理を」依頼するか,決めておきたいという方もいるでしょう。その場合には,任意後見契約を利用することができます。自分の希望する人物を任意後見人とすることができ,委任する事項も契約で決めることができます。手続としては,公証人の作成する公正証書で締結する必要があります。判断能力が不十分な状況に至った場合に家庭裁判所に任意後見監督人選任の申立を行い,選任されると任意後見契約の効力が発生します。
 ですから,任意後見人に就任予定の方は,いつ高齢者が「判断能力が不十分な状況」に至ったと判断して家庭裁判所に申し立てるのか,に注意しないといけません。申立が遅くなると,契約の効力が発生する前に高齢者の財産が散逸してしまう可能性があるのです。
 もし,親族がいないなど適当な任意後見人の候補者が見当たらない場合には,利害関係のない専門家である弁護士に依頼することも考えて良いと思います。
 なお,判断能力はまだ十分にあるが病気や体調不良などで財産管理を依頼したいという場合には,親族や弁護士などと財産管理契約を結んで,財産管理を任せる方法もあります。

投稿者 弁護士 桑田 英隆 | 記事URL

2012年6月21日 木曜日

交通事故の保険金請求権の時効

こんにちは,弁護士の桑田です。
今日の話題は交通事故における保険金請求権の時効についてです。
加害者が自分で支払った後に自賠責保険会社に請求する加害者請求もありますが,今日は「被害者からの請求権の消滅時効」にしぼってお話しします。

「交通事故の時効」といっても,自賠責保険の請求権の時効と,加害者本人(任意保険会社)への請求権の時効と大別できます。
自賠責保険の請求権は,原則として交通事故から2年後遺障害については症状固定日から2年です。もっとも,法律の改正により,平成22年4月1日以降の事故についてはそれぞれ3年となりました。
一方,加害者本人への請求も原則として事故日,症状固定日から3年です。

事故から2年,3年というのはあっという間に過ぎてしまいますので,時効を中断させることが必要になります。自賠責保険であれば時効中断申請書を提出してその承認を受けることで,時効を中断します。また,任意保険会社との交渉でも任意保険会社から賠償額の提案があると債務の承認として時効中断となることもあります。もちろん,訴訟を提起することによっても中断します。
 その他にも時効の中断事由はありますが,時効が近いと感じているようでしたら,弁護士に相談して時効中断のための手続を取ってもらうと良いでしょう。

投稿者 弁護士 桑田 英隆 | 記事URL

2012年6月21日 木曜日

マンションの管理費等の相殺はできるか

こんにちは,弁護士の桑田です。
今日はマンションの管理費や修繕積立金の支払を拒絶する区分所有者からの相殺の主張が認められるか,についてです。

 この問題については東京高裁平成9年10月15日判決がありますので,そのケースで説明します。
 この判例の事案は以下の通りです。
 マンションの区分所有者が,平成5年から8年にかけて,一般管理費,積立金等を支払を拒絶したために管理組合がその支払いを請求して提訴しました。これに対して,区分所有者側は,「害虫被害等を放置できないので共用部分の樹木を剪定し費用を負担した。その費用の償還請求権と管理費等の債権を相殺する」というものでした。
 では,このような区分所有者側からの相殺は認められるでしょうか。判例は,相殺を明確に否定しています。
 どうして,相殺できないのでしょうか。
 実は,その債務の性質上許されないときには相殺はできません(民法505条1項但し書き)。たとえば,教科書事例ですが,AはBのために収穫時期に2日間働く,BはAのために3日間働くという契約をしたときAが相殺を主張としてBに一日だけAのために働け,と要求することはできないのです。
 東京高裁は,マンションの管理費等についても,その性質上,相殺は認められないと判示しています。「マンションの維持管理は区分所有者の全員が管理費等を拠出することを前提に集団的,計画的,継続的に行われる」「区分所有者の一人でも現実にこれを拠出しないときには建物の維持管理に支障が生じかねず,区分所有者全員が不利益を被る」「このような相殺はその性質上許されない」としています。

 ようするに,管理費や修繕積立金は実際に拠出されないと区分所有者全員の不利益となるという性質から,相殺が否定されたわけです。当然と言えば当然ですが,それだけ管理費,修繕積立金はマンション運営の要ということなのです。

投稿者 弁護士 桑田 英隆 | 記事URL

2012年6月7日 木曜日

全員遺言時代(特に東京に不動産をお持ちの皆様)

こんにちは,弁護士の桑田です。
本日は,6月6日の日経新聞朝刊の気になる記事「全員遺言時代 間近へ」についてです。

多くの資産をお持ちのいわゆる富裕層の方が相続対策で遺言を作成することはよく見受けられます。
ですが,この記事では富裕層でない方を含む「全員が遺言を作成する」時代が近いというのです。
記事の中には「財産が少ないからもめないと思っている人こそ要注意」とあります。どうしてでしょうか。
実は遺産分割事件は年々増加し,平成13年には6000件強だったのが,平成22年には8000件近くになっているようです。
記事によると,遺産分割事件の対象となる遺産額は5000万円以下が実に74%で,中でも1000万円以下だけで31%にも上ります。相続争いと遺産の多い少ないは関係なく,遺産が少なくともトラブルになっているのです。
では,遺言はどのように作成すればよいのでしょうか。
もちろん,自分で作成することもできますが,自筆遺言の有効要件は厳格に定められています。
公証人のお墨付きのある公正証書遺言がお勧めですし,公証人との橋渡し役で弁護士が役に立つ分野でもあります。
是非ご相談下さい。
なお,日経新聞の次のページに「えっ,私にも相続税?」という記事がありました。
「小規模宅地等の特例」の適用が狭くなっていますし,相続税の増税が国会で審議されています。
これまで相続税は全国で4%程度の方しか納めていなかったのですが,法案が成立すると,東京国税局管内では40%以上が課税ラインにかかるとの見方もあるようです。
節税対策からも遺言の作成は必要になる時代が到来してしまったようです。
皆様も,遺言の作成を検討されてはいかがでしょうか。
 その他,遺言,相続全般については
http://www.kuwata-lawoffice.net/souzoku/
 遺言執行者については
http://www.kuwata-lawoffice.net/blog/2012/07/post-27-314543.html
 未成年者の関係する遺産分割については
http://www.kuwata-lawoffice.net/blog/2012/09/post-33-343015.html
 をご覧下さい。

投稿者 弁護士 桑田 英隆 | 記事URL

2012年5月31日 木曜日

セカンドオピニオンの有効活用法

皆さん,こんにちは,弁護士の桑田です。
今回の話題は「すでに裁判等を弁護士に委任しているが,他の弁護士の意見も聞きたい」といういわゆるセカンドオピニオンの有効な活用方法についてです。

以下は,弁護士のある意味では本音の部分を自戒を込めて記載したところもありますが,ご一読下さい。

相談者からセカンドオピニオンとしての法律相談であることを知らされた場合,弁護士は以下のように感じることがあります。
まず,「この相談者は自分の依頼者になる可能性は非常に低い,したがって,経済的なメリットは期待しにくい」ということです。
法律案件はたいてい複雑で,説明に長時間を要しますし,委任すればそれなりの金額の着手金をすでに支払っています。
ですから,セカンドオピニオンの弁護士に好感を持っても,前の弁護士を変える労力まではかけないのが普通でしょう。

また,「この相談者は,現在の弁護士について不信感を持っているはずだ」とも感じます。
依頼している弁護士に信頼感を寄せていれば,わざわざセカンドオピニオンを聞きに来るはずがないからです。
そうすると,「この相談者は,今の代理人ともめているから感情的になっている可能性もある」と用心するのもご理解いただけるのではないでしょうか。相談者も自分に都合の良い意見を聞きたいばかりに,自分に不利なことは(無意識に)言わず,有利な事情しか話していないケースがあることも否定できません。

このように「この相談者はお金にならない。しかも現在依頼している弁護士と方針でもめていて,感情的になっているかも」と考えがちになってしまいます。しかも,セカンドオピニオンの弁護士はせいぜい1時間程度の相談です。委任を受けて代理人になっている弁護士の方が事情に通じているはずですから,より適切な意見を出すことも簡単ではありません。ですから,弁護士の中には相談を適当に流して,相談者に都合の良い意見を述べて,相談料だけもらって終わってしまう弁護士もいないわけではありません。

しかし,相談を受け流されて適当な回答をもらうのでは,セカンドオピニオンの意味が全くありません。
では,どのようにすればセカンドオピニオンを有効活用できるでしょうか。
まず,弁護士は友人,知人に紹介してもらうことが考えられます。弁護士も人の子ですから,自分の知り合いから紹介された相談者に適当な回答はしにくいものです。
一方,相談する側は,決して感情的になるべきではありません。依頼している代理人や相手方への不満を説明することは一向にかまいませんが,怒りの感情が先に立つと弁護士も答えにくくなります。それに,自分に有利な事情だけでなく,「意識して」不利とされる事情もご説明下さい。そうしないと,適正な回答は得られません。

では,私のセカンドオピニオンとしての活動はどうでしょうか。
私自身としては,真摯に対応してきたつもりですし,おざなりな回答をしたこともありません。
「無理なことは無理」と説明して,できないことの安請け合いは絶対にしていません。
ですが,私の相談の善し悪しばかりは,これまでの相談者の方の評価に委ねるしかありませんね(^_^;)

投稿者 弁護士 桑田 英隆 | 記事URL

2012年5月31日 木曜日

会社側から見たパワハラ対策

皆さん,こんにちは,弁護士の桑田です。
今日は,5月29日に厚生労働省から発表されたパワハラ相談についてです。
各報道によると,昨年,全国の労働局に寄せられたパワハラの相談は4万6000件で過去最多とのことです。
相談件数は,9年前と比べると実に約7倍にも増えたのだそうです。
パワハラ問題の深刻化が伺える結果と言って良いと思います。

ところで,パワハラはパワーハラスメントの略語ですが,具体的にはどういうことでしょうか。
厚生労働省の定義によると,「同じ職場で働く者に対して」「職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に」「業務の適正な範囲を超えて」「精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」とのことです。
わかりやすい例としては,上司が部下に対して指導とは言えないような行き過ぎた暴言が繰り返した場合でしょう。
厚生労働省の示した具体例も,暴行,傷害,暴言,過大な仕事を押しつけることなどが挙げられています。

パワハラ問題はますますクローズアップされています。ひとたび会社の中で発生すると,被害者への適切な対応や賠償が必要となることはもちろんですし,社外からの評価は低下し,社内の士気も落ち込み,会社にとって何一つ良いことはありません。
そこで,会社側も適切な対応を取ることが求められています。
事前の予防策としては,就業規則の中にハラスメント防止のための規定を盛り込むこと,社員教育を行うこと,相談窓口を設けることなどが考えられます。
また,実際にパワハラが起こってしまった場合には,社内調査,上司に謝罪させる,上司を懲戒処分とする,被害者に損害賠償をするなどの対応が考えられます。

ですが,私が一番大切だと思うことは,トップの姿勢です。
パワハラの被害者は,(たとえて言うなら)上司から受けた被害について,更にその上司に報告するわけです。
ですから,会社の経営陣が「パワハラなんてたいしたことではない。大げさだ」という姿勢では,相談窓口を設けても被害者が相談する気にはなりません。
会社トップが「我が社ではパワハラは絶対に許されない」という強い決意を持ち,社内外に表明することがとても大切なことなのです。

投稿者 弁護士 桑田 英隆 | 記事URL

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